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特定商取引法に基づく表記の書き方:必須16項目と、個人事業主が住所・電話番号を出さずに済ませる条件

公開 2026-09-21|掲載データの確認日 2026-09-21

ネットショップを開くと、必ず「特定商取引法に基づく表記」のページを作ることになります。このページは任意ではなく、特定商取引法第11条が定める義務です。

この記事では、2026年9月21日時点の消費者庁「特定商取引法ガイド」および「通信販売広告Q&A」の記載にもとづいて、書くべき内容を整理します。本記事は法令と公的ガイドの記載を整理したものであり、個別の法律アドバイスではありません。 判断に迷う場合は、消費者庁の窓口や専門家にご確認ください。

1. そもそも自分は対象か

特定商取引法でいう「通信販売」とは、販売業者または役務提供事業者が、郵便・電話・インターネットなどで申込みを受けて行う商品・特定権利の販売、役務の提供を指します。

ここで重要なのは「販売業者」の定義です。消費者庁のガイドには次のとおり記載されています。

「販売業者又は役務提供事業者」とは、販売又は役務の提供を業として営む者を意味します。業として営むとは、営利の意思を持って、反復継続して取引を行うことをいいます。なお、営利の意思の有無については、その者の意思にかかわらず、客観的に判断されることとなります。上記要件に該当すれば、個人でも特定商取引法上の「販売業者又は役務提供事業者」となります。

つまり、法人でなくても、開業届を出していなくても、営利目的で反復継続して売っているなら対象です。「趣味の延長だから」「副業だから」は理由になりません。

一方、次のような場合には適用されません(法第26条)。

  • 営業のため、または営業として締結するもの(事業者間取引)
  • 海外にいる人に対する販売または役務の提供
  • 国、地方公共団体が行う販売
  • 事業者がその従業員に対して行う販売

2. 書かなければならない項目

法第11条が定める表示事項は次のとおりです。

# 項目 補足
1 販売価格(役務の対価) 送料についても表示が必要
2 代金(対価)の支払時期、方法
3 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
4 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及び内容
5 契約の申込みの撤回または解除に関する事項 返品特約がある場合はその内容を含む
6 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
7 法人がウェブ等で広告する場合、代表者名または通信販売の業務責任者の氏名
8 外国法人・外国在住の個人で国内に事務所等がある場合、その所在場所と電話番号
9 販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭があるときは、その内容と額
10 引き渡された商品が契約内容に適合しない場合の責任について定めがあるときは、その内容
11 ソフトウェアに関する取引の場合、その動作環境
12 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨と販売条件 定期購入
13 販売数量の制限など特別な販売条件があるときは、その内容
14 請求によりカタログ等を別途送付する場合、有料ならその金額
15 電子メールで商業広告を送る場合、事業者の電子メールアドレス

3. 個人事業主が住所・電話番号を出したくない場合

自宅で開業する人にとって最大の悩みがこれです。消費者庁の通信販売広告Q&Aには、この点について具体的な記載があります。

原則

「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要があります(Q17)

個人事業主でも表示義務があります。また、氏名についても次のとおりです。

販売業者又は役務提供事業者の「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては登記簿上の名称を記載することを要し、通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません(Q16)

私書箱も認められません。

特定商取引法での「住所」とは、会社の場合には本店の所在地等、営業上の活動の拠点となる場所を指すものです。私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、「住所」の表示をしたことにはなりません(Q19)

例外1:請求があったら遅滞なく提供する措置を講じる

Q17には続きがあります。

消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です

氏名(名称)についても同じ扱いです(Q15)。なお「遅滞なく」とは、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることと定義されています。つまり「注文後に教える」では足りません。

この方法をとる場合、表記ページには「請求があれば遅滞なく開示する旨」を明記し、実際に請求が来たらすぐ返せる体制が必要です。

例外2:プラットフォームやバーチャルオフィスの住所・電話番号を使う

Q18には、次の3つの条件をすべて満たす場合に、プラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所・電話番号の表示で足りるとする記載があります。

  1. プラットフォーム事業者の住所・電話番号を表示する場合、その個人事業者の通信販売の取引活動が、当該プラットフォーム上で行われること。
  2. その住所・電話番号が、当該個人事業者の連絡先としての機能を果たすことについて、個人事業者とプラットフォーム事業者(またはバーチャルオフィス運営事業者)との間で合意がなされていること。
  3. プラットフォーム事業者(またはバーチャルオフィス運営事業者)が、当該個人事業者の現住所と本人名義の電話番号を把握しており、確実に連絡が取れる状態となっていること。

ただし次の但し書きが付いています。

個人事業者、プラットフォーム事業者又はバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはなりません。

ネットショップ作成サービスが提供する「住所・電話番号の非公開設定機能」は、この例外のいずれかに対応するものと考えられますが、どちらの仕組みで、どの条件を満たすのかはサービスごとに異なります。機能を使う前に、そのサービスの説明を確認することを勧めます。本記事の調査時点で、各サービスの非公開機能がどの仕組みに該当するかまでは確認していません。

なお、バーチャルオフィスを自分で契約する場合は、上の条件2(連絡先としての機能を果たすことの合意)と条件3(現住所と本人名義の電話番号の把握)を、その事業者が満たせるかを確認する必要があります。住所を貸すだけのプランでは条件を満たさない可能性があります。

4. 省略できる項目・できない項目

法第11条ただし書により、「請求があれば遅滞なく書面または電子メールで提供する」旨を広告に表示し、実際にそうできる措置を講じている場合、一部の項目を省略できます。消費者庁のガイドにある表は次のとおりです。

表示事項 価格・送料等を全部表示したとき 全部表示しないとき
代金等の支払時期(前払の場合) 省略できない 省略できる
代金等の支払時期(後払の場合) 省略できる 省略できる
代金等の支払方法 省略できる 省略できる
商品の引渡時期(遅滞なく行う場合) 省略できる 省略できる
商品の引渡時期(それ以外) 省略できない 省略できる
申込みの期間に関する定めがあるときの内容 省略できない 省略できない
返品に関する事項を除く申込みの撤回・解除に関する事項 省略できる 省略できる
返品に関する事項(可否・期間等条件・送料負担の有無) 省略できない 省略できない
販売業者の氏名(名称)、住所、電話番号 省略できる 省略できる
法人の場合の代表者名または責任者名 省略できる 省略できる
外国法人等で国内に事務所等がある場合の所在場所・電話番号 省略できる 省略できる
契約不適合の場合の責任(負う場合) 省略できる 省略できる
契約不適合の場合の責任(負わない場合) 省略できない 省略できる
ソフトウェアの動作環境 省略できない 省略できない
2回以上継続して締結する場合の販売条件 省略できない 省略できない
販売数量の制限等 特別の販売条件 省略できない 省略できない
請求により交付する書面等が有料のときの価格 省略できない 省略できない
(メール広告をするときの)電子メールアドレス 省略できない 省略できない

表を見てわかるとおり、返品に関する事項はどんな場合でも省略できません。名前や住所より厳しい扱いです。

5. 返品特約を書かないと、8日間は返品を受けることになる

通信販売にクーリング・オフはありません(Q12)。その代わりに法第15条の3があります。

通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります。

つまり、返品特約を書かなければ「引渡日から8日以内は消費者送料負担で返品可」が自動的に適用されます。返品を受けたくないなら、その旨を明示する必要があります。

書き方について、Q13・Q14に具体的な記載があります。

  • 「返品についてはその都度御相談に応じます」は特約を表示したことにならない(Q13)。
  • 返品を認めない場合は、「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません。」などと表示して、契約内容に適合している商品でも返品を受け付けないことを明確にする必要がある(Q14)。

また、申込みの撤回・解除に関する事項は「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する」ことが施行規則第9条第3号で定められています。ページの一番下に小さく書く、という扱いは避けるべきということになります。

6. よくある書き間違い

消費者庁のQ&Aから、実際に指摘されている例を挙げます。

よくある表記 消費者庁の見解
「在庫のあるもの即日発送、予約は入荷次第」 「入荷次第」では時期を示したことにならない。「○日以内」「○月○日まで」という具体的な表示が必要(Q10)
「入金確認後発送します」 支払時期は前払いと推測できるが、引渡時期を明示したことにならない。「入金確認後、直ちにお届け」なら可(Q11)
「代金引換手数料、梱包料がかかります」 金額の明示が必要。具体的に書かないと消費者が予測できない(Q8)
屋号やサイト名だけを記載 個人事業者は戸籍上の氏名または登記された商号が必要。通称・屋号・サイト名のみは認められない(Q16)
私書箱の住所を記載 営業上の活動の拠点を表示したことにならない(Q19)
定価のみ表示し、販売価格は問い合わせ対応 省略の特例を使うなら可。使わないなら実売価格の表示が必要(Q4、Q5)

なお、「電話番号を書くと24時間かかってくるのでは」という点については、「一般常識として夜間等営業を行っていない時間帯については、留守番電話等を利用することは構いません」とされています(Q20)。

7. 表記ページを作るだけでは足りない

見落とされやすいのがこの点です。法第12条の6により、インターネット通販では最終確認画面(カートの最後の確認画面)にも表示が必要な事項があります。

  • 分量
  • 販売価格(送料を含む)
  • 代金の支払時期、方法
  • 商品の引渡時期
  • 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及び内容
  • 契約の申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)

あわせて、契約の申込みとなることを誤認させる表示や、上記事項について誤認させる表示が禁止されています。これらに違反して消費者が誤認した場合、消費者は申込みの意思表示を取り消せます(法第15条の4)。

ネットショップ作成サービスを使う場合、最終確認画面は基本的にサービス側が用意しますが、送料や返品条件の設定が正しく反映されているかは自分で確認する必要があります。

8. 書くときの順番

実務としては、次の順で埋めるのが手戻りが少なくなります。

  1. 返品特約を先に決める。 省略できない項目であり、書かなければ8日間返品可が適用されます。返品を受ける条件・期間・送料の負担を先に決めます。
  2. 住所・電話番号・氏名の扱いを決める。 自宅住所を出すか、省略の特例を使うか、プラットフォームやバーチャルオフィスの住所を使うか。3節の条件を確認します。
  3. 送料と追加費用をすべて洗い出して金額で書く。 代引手数料、梱包料、地域別送料。「かかります」ではなく金額を書きます。
  4. 引渡時期を期間か期限で書く。 「入荷次第」は不可です。
  5. 定期購入があるなら、契約回数・総額・解約条件を書く。 省略できない項目です。
  6. 最終確認画面の表示を確認する。 カートで実際に注文を最後まで進めて、上の6項目が出ているかを目で見ます。

利用するサービスによって表記ページのテンプレートは用意されていますが、項目が埋まっていることと、内容が法の要件を満たしていることは別です。特に引渡時期と返品特約は、テンプレートの初期値のままだと要件を満たさないことがあります。

関連:ネットショップ作成サービス比較(主要10社の料金一覧)

記載内容はすべて2026年9月21日に消費者庁のページで確認しました。法令・ガイドの内容は改正される場合があるため、最新の情報は出典先をご確認ください。本記事は公的資料の記載を整理したものであり、個別の事案についての法律判断を示すものではありません。出典URLはこの下にまとめています。

出典(確認日 2026-09-21

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