ネットショップ開業の手順:許可・サービス選び・開業届・表記を、やる順番に並べる
公式情報を見た日:2026-09-23 / 掲載:2026-09-23

この記事の答え

個人がネットショップを開業する場合を、国税庁・厚生労働省の公式ページと資料の記載で整理
- 中古品を仕入れて売る店古物商許可が要る。標準処理期間があるので、開店予定日から逆算して申請する
- 食品を売る店営業許可(32業種)か営業届出か、自分がどれに当たるかを管轄の保健所に確かめる
- 1月16日以後に開業する人青色申告の承認申請は開業から2か月以内。開業届の期限より短いので先に確かめる
- 返品を受けたくない店開店前に返品特約を書く。書かないと受け取った日から8日間は返品を受ける
ネットショップの開業は、サービスに登録して商品を並べれば形になります。ただし順番を間違えると、あとから作り直しになる部分があります。売るものによっては許可を先に取らないと売れず、許可の申請には営業所の住所が要ります。サービスを決めてから許可の必要に気づくと、ページを作り直すことになります。
この記事では、やる順番に並べます。数字と期限は2026年9月23日に官公庁の公式ページで確認しました。
1. 全体の流れ
| 順番 | やること | いつまで |
|---|---|---|
| 1 | 売るものを決め、必要な許可・届出を調べる | 開店前(許可は取得まで日数がかかる) |
| 2 | 売り場の種類を決める(自分のショップ/モール/マーケット) | 開店前 |
| 3 | サービスを決めて開設する | 開店前 |
| 4 | 特定商取引法に基づく表記を作る | 開店前(掲載義務) |
| 5 | 開業届を出す | 開業した年分の確定申告期限まで |
| 6 | 青色申告の承認申請を出す | 開業の日から2か月以内(1月16日以後の開業の場合) |
期限が一番厳しいのは6の青色申告承認申請です。開業届ではありません。ここは3節以降で詳しく書きます。
2. 売るもので、要る許可が決まる
許可や届出が必要になる代表的なものです。該当しない一般的な雑貨や自分で作った作品であれば、いずれも不要です。
| 売るもの | 必要になるもの | 根拠 |
|---|---|---|
| 中古品(仕入れて売る) | 古物商許可 | 古物営業法 |
| 食品 | 食品衛生法の営業許可(32業種)または営業届出 | 食品衛生法 |
| 酒類 | 通信販売酒類小売業免許 | 酒税法 |
中古品
転売のために仕入れた中古品を売るなら古物商許可が要ります。自分が使っていたものを売る場合は不要です。どこで線が引かれるかは、ネット販売で古物商許可が必要なケース・不要なケースにまとめています。許可が下りるまでの標準処理期間があるため、開店予定日から逆算して申請してください。
食品
厚生労働省の資料では、平成30年の食品衛生法改正で営業許可業種が32業種に再編されました。あわせて、許可業種にも届出対象外にも当たらない営業には、原則として営業届出が必要になったと記載されています。届出先は管轄の保健所です。届出の対象外として挙げられているのは次の5つです。
- 食品又は添加物の輸入業
- 食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業
- 常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
- 合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
- 器具容器包装の輸入又は販売業
自分で作った菓子やパンを売るのか、仕入れた包装食品を売るのか、冷蔵や冷凍が要るのかで扱いが変わります。自分がどれに当たるかは管轄の保健所に確認してください。厚生労働省の資料にも、内容については管轄の保健所へ問い合わせるよう書かれています。
酒類
国税庁の資料では、通信販売酒類小売業免許は「2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象として、商品の内容、販売価格その他の条件をカタログを送付する等により提示し、郵便、電話その他の通信手段により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って酒類を小売することができる免許」と定義されています。
ネットショップは通常、全国の消費者が買えるため、この「2都道府県以上」に当たります。販売場で売る一般酒類小売業免許とは別の免許です。なお、通信販売酒類小売業免許で扱える酒類の範囲には制限があります。ただし、今回確認した資料の範囲では具体的な条件までは記載がなかったため、ここには書きません。所轄の税務署に確認してください。
3. 売り場は3種類ある
| 種類 | 例 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自分のショップ | BASE、STORES、Square、カラーミーショップ、Shopify | 固定費を抑えたい、手数料を低くしたい、ブランドを育てたい |
| モール | 楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング | 最初から集客が欲しい、固定費と手数料を払える |
| ハンドメイドマーケット | minne、Creema、iichi | 作品がジャンルに合っていて、集客を任せたい |
自分のショップは固定費が最も小さい代わりに、お客さんを自分で連れてくる必要があります。モールは集客力がある代わりに固定費と手数料がかかります。手数料の実額比較はハンドメイドを売る場所の比較とネットショップ作成サービス比較にあります。
4. サービスを決める
自分のショップを持つ場合、月額0円で始められるサービスが6つあります。ただし無料で済むのは月額だけです。売れたときの手数料は3.6%から7.26%まで開きがあり、独自ドメインが使えるかどうかも分かれます。詳しくは無料で作れるネットショップ6社の比較にまとめました。
決めるときに見るのは、この順番です。
- 想定する月商での費用(月額+手数料の合計)
- 独自ドメインが使えるか
- 使いたい決済手段があるか
- 入金までの日数
5. 特定商取引法に基づく表記を作る
通信販売は特定商取引法の対象で、事業者名・住所・電話番号などの表示義務があります。開店してから作るものではなく、開店時点で要るものです。個人事業主が自宅住所を出したくない場合の扱いも含めて、特定商取引法に基づく表記の書き方にまとめています。
返品の条件(返品特約)を書かないと、商品を受け取った日から8日間は返品を受けることになります。ここは売上に直接効くので、開店前に必ず決めてください。
6. 開業届の期限は「1か月以内」ではない
ネット上には「開業届は開業から1か月以内」という説明が多く見られます。しかし、国税庁の手続案内ページに書かれている提出時期は違います。
事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。 (国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)
国税庁の「開業する場合」のページでも同じです。個人事業の開業・廃業等届出書の期限は「開業した年分の所得税の確定申告期限」と記載されています。今回確認した2つのページに「1月以内」「1か月以内」という表現はありませんでした。
一方で、1か月以内の期限があるものは別にあります。人を雇って給与を払う場合の「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」です。国税庁のタックスアンサーには「開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内」と記載されています。おそらくこれと混ざって伝わっているものと思われます(これは確認した事実ではなく、筆者の推測です)。
提出先は納税地を所轄する税務署長です。手数料についての記載はありません。
各欄の書き方(屋号・職業・事業の概要)は開業届の提出期限と書き方にまとめました。
7. 期限が一番厳しいのは青色申告の承認申請
国税庁のタックスアンサーには、所得税の青色申告承認申請書の期限がこう書かれています。
原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
つまり1月16日以後に開業した人は、開業から2か月以内です。開業届の期限(確定申告期限まで)より、こちらのほうがずっと短くなります。この2か月を過ぎると、その年は青色申告ができません。
青色申告と白色申告のどちらを選ぶかは、控除額や帳簿の手間の問題なので、税理士や所轄の税務署にご相談ください。
8. 開店前の確認リスト
- 売るものに許可・届出が要らないか確認した(中古品/食品/酒類)
- 必要な許可を申請し、取得の見込みが開店日に間に合う
- サービスを決めて、月商想定での費用を計算した
- 特定商取引法に基づく表記を作り、返品特約を書いた
- 送料と配送方法を決めた
- 開業届と、必要なら青色申告承認申請の提出日を決めた
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9. この記事の範囲
引用した記載は、2026年9月23日に確認しました。税務と酒類に関する記載は国税庁、食品に関する記載は厚生労働省の公式ページ・資料によります。個別の事案に当てはまるかどうかは、所轄の税務署・保健所・警察署(古物商)にご確認ください。
関連:ネットショップ作成サービス比較(主要10社の料金一覧)/無料で作れるネットショップ6社/ネット販売で古物商許可が必要なケース・不要なケース/特定商取引法に基づく表記の書き方/開業届の提出期限と書き方/ネットショップとインボイス
公式サイト・申込窓口
参照した公式ページと確認日(2026-09-23)
- 国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 国税庁 開業する場合 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/42.htm
- 国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
- 厚生労働省 営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index_00010.html
- 厚生労働省 営業届出制度の創設と営業許可制度の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000706466.pdf
- 国税庁 酒類の販売業免許の区分及び種類とその意義 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/03b/01.pdf



